大判例

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東京高等裁判所 昭和38年(ネ)1877号 判決

当裁判所は、被控訴人らの本訴請求は、原判決の認容した限度において、これを認容すべきものと認めるが、その理由は次のとおり附加するほか、原判決理由と同一であるから、それをここに引用する。

その成立に争いのない甲第二号証によれば、本件登録実用新案の説明書中「実用新案の性質、作用及効果の要領」の項における従来の椅子張り作業の欠陥および本件実用新案の作用効果を述べた部分(同項第二文)には「従来の椅子張作業においては、(中略)被布の周縁部を座席枠体に釘着、螺着するか又は締付金具等をもつて固着するのを通常としたが、(下略)」と記載されていて、右の「座席枠体」が特に背当部の枠体をも包含する旨の記載のないことは、控訴人主張のとおりである。しかしながら、説明書の全文および原審における鑑定人田中市之助の鑑定の結果を総合すれば、本件登録実用新案は、これによつて従来の椅子の表張り作業の容易化、製品の均一化を図ることを目的とし、説明書の「実用新案の性質、作用及効果の要領」の項中原判決理由引用の部分に記載するとおりの作用効果を期待できるようにしたものであることが認められるところ、これら本件登録実用新案の目的、作用効果と椅子において被布をもつて緩衝体を被蓋してこれを固着する必要のある部分は必ずしも椅子の座部分に限られないことを考え合わせれば、前記「座席枠体」の語も、特にその座席の点に重点を置いて、これを椅子の座部分の枠体のみを指すものと限定的に解すべき合理的根拠を見出し難く、むしろ、椅子の表張り作業において、被布をもつて緩衝体を被蓋してこれを固着する必要のある部分における枠体をいうものと解するのが相当である。この点に関し、控訴人は、本件登録実用新案の出願代理人による実用新案登録出願四例等を挙げて、これらにおいては「座席」と「背当」とは慣用的に明瞭に区別されている旨主張するけれども、実用新案の説明書における用語の意味は、それぞれの考案に即して定めらるべきであるから、右の主張も、本件登録実用新案の「椅子用座席」には、椅子の背当部を含むとする原審の認定を左右するに足りない。さらに本件登録実用新案の図面(第一図および第三図は、これを説明書の全文と対照してみれば、椅子の座部分を含むクツシヨン部分の下方斜視図とみるに十分であつて、この点に関する控訴人の主張もまた理由がない。

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